大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)642号 判決

原判決は、その事実摘示第一において、前記の如く、被告人につき候補者吉川兼光を誹謗する趣旨の文書の頒布所為ありと認め、之を以て公職選挙法第二四三条第五号に該当すると断じている。然し、右第二四三条第五号は同法第一四六条第一四二条の制限規定に違反して選挙期間内に選挙運動のため候補者の氏名等を表示した文書を頒布することに対する処罰規定であり、従つて、同規定に違反したとなすには、まず、その所為が同法第一四二条にいう選挙運動のための使用文書に関することが前提要件であり、而して、一定の所為が選挙運動となるには、その所為によつて支持せられ当選に関し有利なる影響を受ける可能性ある候補者の存在が必要なりと解するを相当とする。然るに、原判決は、被告人の右文書頒布が如何なる候補者の利益のためになされたかについては全然判示することなく、単に吉川候補者の不利益になるが如き性質の所為を摘示し之を以て直ちに選挙運動のための所為となしたのは、審理不尽にして事実を誤認したものと観ることができる。而して、原判決の右事実誤認は、判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、そのため原判決は破棄を免れない。

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